KEIKO : 第4話 両手に幸せを握り締めたい

 もったいないと言われるけれど  自分の好きなようにしたらいい
 世界への階段を登り始めたはずの私に、マネージャーの松本さんはハッパをかける。

「よし、これからドンドン海外の仕事を入れるわね。ショーもガンガンやろう!」

「あの、で、でも......」

「何? 何か問題でもあるの?」

「あのぅ、私、実は世界に出たくないんです」


 ウォン・リーとギリシャに行って仕事ができて、それはそれで楽しかったのだけれど、  私には菜奈みたいな、上昇志向がないことに気付いた。幼い頃からそうだった。欲が無くてボウッとしているとよく言われたものだ。
 松本さんに、菜奈のバスのエピソードを伝えた。

「私は別に豪華なロケバスに乗らなくてもいいんです」

「なんで? もったいない! それだけの身長とKEIKOの個性があればやっていけるよ」

「でも、世界のショーでは180cm以上だって言われたし......」

「それは、ケースバイケースよ」

「でも、私、英語も全然できないんですぅ」


松本さんがイライラしているのがわかった。私はグズかもしれない。でも、自分の根本の性格は変えられない。

「わかったわ、KEIKO。社長と話してみる。本当にもったいないなあ!」
 もったいないと言われるけれど  自分の好きなようにしたらいい