KEIKO : 第4話 両手に幸せを握り締めたい

自分の好きなようにしたらいい  結婚して出産してもモデルを続けたい 
「KEIKOは本当に欲がないよね」

「世界への切符を手にしたのに、もったいなーい! その切符、私にちょうだいよ!」

 海外進出を断ったという噂は、瞬く間に広がり、モデル仲間から、呆れられた。
 一方、優佳とは、変わらずに付き合い続けている。彼女は、東京では唯一、一般人の友達。利害関係が無く、気兼ねなしに付き合えるから、お互いにズバズバものを言う。

「優佳、私はね、モデルとして成功するだけじゃなくて、女としての幸せも欲しいの」

「すぐに結婚したいと思う相手がいるの?」

「ううん。だけど、年齢的にも次に出会った相手とは、結婚を視野に入れた付き合いをするでしょ。その時に『2年後に海外を目指すから、結婚は出来ない』なんて 言いたくない。子供も二人は欲しいと思っているし」

 175cmという身長をありがたがって貰えるのは、バスケットやバレーボールの選手、宝塚の男役、そしてモデル。意外と選択肢は少ないと思っている。
そのなかの一つの仕事は続けられるなら、私はずっとやっていきたい。
 どんなに裕福な人と結婚しようと、子供を産もうと、自分のアイデンティテイを保つために、絶対に仕事を続けたい。ママモデルだっているし、40代半ばを過ぎて活躍している有名なモデルもいる。

「KEIKOは実は無欲じゃなくて、欲張りなんだよ。片手にいっぱいの幸せじゃなくて、両手に適度の幸せが欲しいんじゃないの?」

「ああ、ホント! 確かにそうなのかも」

「握力強いね! KEIKOはそのままがいいよ。そのままでいて」

 突き抜けるような青空の下、オープンカフェでお茶しながら、弾ける様に笑い続けた。 29歳、KEIKOこと慶子。今、岐路に立っている。

                        KEIKO STORY 終
自分の好きなようにしたらいい  結婚して出産してもモデルを続けたい