SAEKO : 第1話 きっかけは出版社のスカウト

雨になりそうな渋谷にて。  高校時代のBF、その影響が無ければ。  念願の「二人そろって」な上京。
「モデルってどんなことをするのかな......」

 そもそも、モデルなんていうものには全く興味がなかった。東京に出てくる事さえ、いたって受動的な 理由からだったわけで。
忘れもしない、高2の3月。長丁場の3学期の期末テストも終わり、明日から春休みという開放感にひたっていたある日の放課後。
恵太と私は、いつものカフェ、(というより喫茶店)にいた。
「ねぇ、今日の試験、どうだった?」

「問題ないでしょ~。 俺、基本学年トップしか眼中ないから」

「ですよね~。恵太サン出来るコだもんね~」

姉が無事短大に合格したこと、恵太は自分の家族の話などをとめどなく話している最中のこと。

「あのさ、ちょっといい?『俺、東京の大学行こうと思ってるんですけど』、って言ったら、どう?」

「 えっ?いきなり「どう?」って...、 でも......、今までずっと、『県内の国立目指してる』って言ってたじゃん。 だから私も、県内の大学に行こうかなって... にしても、急にどしたの?」

「東大良いかな......って。つうか、最近、やっぱ東大かなって思うようになったんだよね」

「う~ん......。じゃあ、私も一緒に東京の大学にしよっかな~。」

「あ、それいい!そうしよ!」
特に迷いはなかった。15歳から付き合っていた恵太とは、付き合い始めた当初から、いつか結婚しようとまで言っていた。若かった事も手伝って、別れるという選択は想像もできなかった。今思えば、きっと彼もそうだったんだろうと思う。
雨になりそうな渋谷にて。  高校時代のBF、その影響が無ければ。  念願の「二人そろって」な上京。