病気や怪我をしたときは?
撮影などで身体を酷使したり、また不規則な生活にもなりがちなモデル業界。
他のお仕事よりも身体が大事ですよね。文字通り「身体が資本」の業界です。
ですので,自分の身体に何かあった場合に備えて、十分な備えが必要です。
モデル業界は個人事業の方がほとんどです。
個人事業の方が加入する国民健康保険は、会社員が加入する健康保険と違って休んだ時の保障がありません。
病気や怪我をすると、「医療費がかかってしまう」+「その期間の収入もなくなってしまう」というダブルパンチ。
ですので、会社員よりも多めの保障が必要です。
また、美を売る商売ですから絶えず誰かに見られていることを意識しなければいけないのも特徴的ですね。
病院に入った場合も、個室に入った方が良いこともありますので、その点からも医療保険については普通の方よりも重要性は高いと思います。
ですが、そもそも手元の貯金では備えられない場合に使うのが保険です。
平均入院日数は減少の一途を辿っていますし数日の入院なら貯金の枠内で収められる方が多いのではないのでしょうか。
また、国民健康保険には、「高額療養費制度」というのがあり、手術や長期入院などがあっても月の医療費が10万円を超える方はごくごく一部です。
その意味でも、高ければ高いほうが良いというものではありません。
医療保険の選び方は、「医療保険で儲けようと思わない。」のがポイントだと思います。
障害が残った場合は?
若いモデルさんの一番の金銭的なリスクは、怪我や病気で障害が残ることかもしれません。
若年性の脳梗塞なども最近話題になりましたね。
そんなとき、もし要介護状態になった場合には、未婚の場合には特に両親が介護することになると思います。
高齢でこれから自分の老後が心配な両親が子供を介護しなければいけないのは、本当に大変なことです。
金銭的な負担だけはかけないように、事前に準備しておくことは必要だと思います。
国民年金には加入していますか?
国民年金に加入していると、介護状態になった場合に障害年金がもらえますから。
しかも、民間の保険と違って、国民年金は物価の上下によって受給額も上下するので、物価の変動に強い制度になります。
「どうせもらえないんだから」と言わずに、加入した方がオトクな場合もあります。
亡くなってしまったときのリスクと備えとは?
自分が死んだ時のことはあまり考えたくないものですね。
ですが、亡くなったときには葬儀費用など必ずかかるお金があります。
葬儀費用は平均的には約200万円と言われています。
残された家族に負担をかけないためにも、最低限これは用意しておきたいですね。
貯金があるなら保険に入る必要はありませんが、ない場合には保険で備えましょう。
これくらいの金額なら月々の保険料は安くすむでしょう。
ですので、未婚だったり、結婚していても養う家族がいない場合には、何千万円の保険は必要ありません。
「自分が死んだときに、誰がお金で困るかな?」というのがポイントです。
「家族に残す最後の愛情」というCMなどを見ますが、保険会社の宣伝だと思います。
家族が亡くなった時にお金で困るのは避けたいですが、家族は保険成り金になりたいとは決して思っていませんから。
貯蓄性の保険はどうでしょうか?
貯蓄性の保険は、生命保険と投資が混ざったものです。
貯蓄性の保険は複雑なものが多い(手数料が高い)ので、よっぽど利回り(≒利息)が高いもの以外は選択肢から外しても良いと思います。
生命保険は生命保険で。投資は投資で。
そのように、別々に考えた方がわかりやすく手数料も安くすむでしょう。
お金は銀行に預けておくだけで時間がたてば殖えていくものです。
「元本割れしないから損しません。」というのは真っ赤なウソです。
「ホントは増えてるはずなのに、元本のままにしかなっていないので、ホントは損してますよ。」というのがホントの表現です。
営業トークに騙されないようにしましょう。
また、今後結婚など生活環境が変わる方については、長期的な視点が必要な貯蓄性の生命保険の必要性は他の人に比べて低いでしょう。
「掛け捨てだから損」「貯蓄性だから得」というわけではありませんのでご注意を。
収入保障保険とは?
名前だけを見ると、「いざというときに収入を保障してくれる保険」に見えますね。
収入が不安定な業種にはぴったりに聞こえるかもしれませんが、中身は死亡した時(もしくは高度障害など)で働けなくなった時にしかもらえません。
仕事がなくて収入が減った時にもらえる保険ではありません。
「収入保障保険に加入しているから、仕事がなくても大丈夫。」ということはありませんので誤解のないように。
いろいろな保険を見て来ましたが、基本的な考え方はこうです。
【1】何かあったときのリスクを洗い出す。
【2】それに今の貯金で備えられるのか。→備えられるなら保険は不要。
【3】備えられない。備えられない部分のみを保険で備えよう。
というのが基本的な考え方です。
著者:小山武仁(税理士・ファイナンシャルプランナー)